父が暴れて、専業主婦だった母と子供で非力だった私は、「仕事と住む部屋さえあれば、こんな思いしなくていいのに。」と強く思った。
平穏な暮らしがしたかった。
突発的に癇癪を起して暴力を振るう父とあの状況が何だったのか、はっきり覚えていない。
後で落ち着くと私の好物であるいくらを買って来てくれた。
いつもは優しい父なのに、腕につねられてアザを作って学校へ行った日々は何だったのか…。
しばらく忘れていたのに、「いい歳して定職にも就かず結婚しろ」と言われて、「私は他人に暴力を振るわれたら殺す。」と返した。
急にあの時のことが思い出され、悲しい気持ちが蘇って号泣した。
あの時「どうしよう。仕事と部屋があれば、静かに生きていけるのに。お母さんがかわいそう。自分はどうしたらいいんだろう??」って強く思ったのを、思い出した。
でも一生懸命働いて3人を大学まで出してくれた父を、悪者にする気は無い。